オープンシステム(自社が採用している分離発注方式)の大きな特徴は見積りの仕方に現れる。ふつう、設計事務所に設計を依頼すると、ゼネコンや工務店などいわゆる建築の元請け業者がというところが建築工事費の全体を見積もる。
ところがオープンシステムの場合は、建築を業種ごとに分解して専門業者が見積もる。木造住宅なら仮設工事、基礎工事、木工事、板金工事、サッシ工事、左官工事、塗装工事、内装工事、給排水設備工事、電気設備工事といったところが主な業種となる。
そして、業種ごとの見積り金額の合計が全体の工事費となる。ずいぶん面倒なことをやっているように見えるが、急がば回れというように、これが最もシンプルな見積り方法なのである。何故なら、じつは建築の元請け業者(ゼネコンや工務店など)も同じことをやっているからである。
元請け業者は業種ごとに見積もった金額の合計を「工事原価」とし、そこに元請け業者としての経費を上乗せした見積書を建築主に提出する。では、元請け業者の経費(設計・工事管理費)とは、どれくらいの金額なのだろうか?
工事原価(専門業者の工事費の合計)を2000万円と想定して算出してみよう。一般的な住宅会社は最低25%の元請け経費を確保しなければ経営が難しいと言われているので、原価の2000万円にそれぞれ25%、30%、35%の元請け経費を上乗せした工事費を算出すると以下の金額になる。
原価2000万円→元請け経費25%→工事費2666万円
原価2000万円→元請け経費30%→工事費2857万円
原価2000万円→元請け経費35%→工事費3076万円
元請け経費は工事費に対する%なので25%なら2000万円÷0.75となり、30%なら2000万円÷0.7という計算式で導かれる。
建築主が眼にする元請け業者の見積書には、原価2000万円の痕跡はどこにもない。建築主は2666万円とか3076万円に加工された見積書をみることになる。それに対してオープンシステムの見積りは原価のままである。だから、最もシンプルな見積りなのだ。このシンプルさは計画、設計、見積り、工事など建築のあらゆる場面で効力を発揮する。
何も隠す必要がない。ありのままに見える。見えるって、シンプルだけど凄いことだ。見えると、ごまかしが通用しない。不要な経費が排除される。そして、やるべきことをやらなければならない。
だけど、「見える」を実現するのは簡単ではない。何故なら、隠したいことまで見えてしまうから。「見える」を実現するのは、思い切った自己改革が必要なのだ。
ここまでは全国的に発信しているメールの内容でした。
どっちにも動かせるお金(あくまで施主のお金ですよ)というものが一括請負の見積書にはどこかに隠れています。そうしないと簡単に言うとめんどうだから。楽じゃないから。
やっぱり合理的という考えの元、楽できる方法が社会でウケるんだろうな、やっぱり。
でも、それは施工者側主導の考えであり、施主主導の考えになれば逆である。
でも、見積り時に事細かくチェックしなくていいだろうな~
はっきり言うと自社の経費(設計・工事マネジメント費)は約15%です。
次回はどうして25~35%が約15%になるのか!を書いてみます。